企業ブランディングの効果や調査方法を解説|覆面調査の活用事例も紹介

コラム

近年ブランディングの取り組みを強化したいと考える企業が増えています。
一方で、企業のロゴや名称の変更など、おもにマーケティング部門が担当するコーポレートアイデンティティの実施が、ブランディングであると考える企業も存在するようです。
現代のブランディングは、一部の部門ではなく、全社員が関与することで、効果やメリットが最大限に引き出されます。

 

今回は、企業におけるブランディングとはどのようなものなのか、そしてその効果や調査方法を解説します。
さらに、ブランディングの調査方法のひとつである、覆面調査の活用事例も紹介しましょう。
この記事を読むことで、ブランディングに取り組むヒントが得られるはずです。

 

企業におけるブランディングとは?

企業ブランディングの効果や調査方法を解説|覆面調査の活用事例も紹介

 

ブランディングとは、ブランド価値を最大化することを目指す活動です。
ブランディングという言葉は、広く日本企業に浸透しています。
ブランディングの捉え方は大きく分けて以下の2つになります。

 

マーケティング部門による広告やコミュニケーション

ひとつは、ブランディングをマーケティングの施策と考える捉え方です。
宣伝・広告で、ブランドイメージを高める考え方で、企業の中でマーケティングを担当する部門のみで取り組みが行われます。

 

いまだに、多くの日本企業がこの捉え方をしているようです。
しかしながら、この考え方はブランディングの一部でしかなく、近年はもっと広い意味でブランディングを捉える傾向にあります。

 

企業全体で取り組むブランド力の向上

近年のブランディングでは、マーケティング部門に限らず、IR、カスタマーサポート、営業、人事・採用、店舗などの現場、研究・開発部門など、企業内の全部門の全職員がブランド力向上につとめます。
既にグローバルなリーディングカンパニーは、企業全体でブランディングに取り組んでおり、日本企業にも浸透してきています。

 

ブランディングの推進者は企業経営者であり、ブランディングに取り組むことの重要性を企業全体が理解したうえで、全部門の全従業員が一体となり活動しています。
たとえば、本社部門だけでなく、店舗で顧客に好印象を与えるようなレイアウトの工夫や現場で働く従業員の高いレベルの接客などもブランディングを向上させます。

 

企業ブランディングの効果やメリット

企業全体でブランディングが適切に実施されれば、企業はブランドとして消費者に識別され、競合他社との差別化により、企業価値が高まります。
ブランディングの効果やメリットには以下の5つがあげられます。

 

競合他社の参入障壁を高くする

市場は常に変化し、自社のビジネスも競合他社が参入する可能性があります。
企業全体でブランディングに務めることで、市場に中で自社の認識力が高まり、さらに「好きなブランド」「いつも使うブランド」としての価値を獲得できます。
結果として、競合他社の参入障壁を高くすることになります。

 

リピート率の向上

ブランディングでは、企業価値を高めるために、提供する商品やサービスの品質向上だけでなく、店舗の空間イメージや従業員の接客意識の向上につとめます。
さらに、顧客とのコミュニケーションを密にすることで、顧客と企業の接点のなかで、企業の目指す姿を知ってもらうことができます。
このようにブランディングは、顧客にとっての企業価値を高め、リピート率を高めることができます。

 

コスト削減

販売促進には、コストがかかります。
商品やサービスの知名度を上げ、商品を認知してもらい、購入してもらうために、企業は多くの費用と時間、労力をかけています。
ブランディングが成功することで、消費者は自社の商品やサービスに価値を見出し、自社を指名して購入することになります。
ブランディングが進むことで、販売促進にコストをかけずとも顧客が増えやすくなり、その結果コスト削減につながっていきます。

 

優秀な人材の確保

市場の中でブランディングが高い企業は、人材市場においても人気の企業となります。
既に勤務している従業員はそんな自社でこれからも働きたいと考え、離職率が低下します。
新入社員の採用では、優秀な人材が応募してきますし、転職市場でも転職の候補企業として選ばれます。
ブランディングが高まることで、優秀な人材を確保することができるのです。

 

企業ブランド調査の方法

企業が顧客にブランドとしてどのように認識されているかという現状を知ることはブランディングを成功させる第一歩です。
さらにブランディングの課題を見つけ、ブランディンクの取り組み効果を確認するためにも調査が必要です。
この章では代表的な企業ブランド調査方法を3つ紹介します。

 

アンケート調査

アンケート調査には、アンケート用紙を店舗内に設置して、アンケートに回答してもらう方法や、サービス会社が提案するツールを活用する方法があります。

ツールには、アンケートをQRコード化し、店頭やレシートに設置することで、来店した顧客がすぐに回答できるものなどがあります。
ツールを使えば、アンケートの内容は、即時に通知され、店舗の店長などの管理責任者はリアルタイムで確認することができます。
また、アンケートデータは集計・蓄積され、分かりやすいレポートとして通知されます。

 

顧客満足度調査(CS調査)

CS(顧客満足度)調査の方法として代表的な方法は、アンケートとインタビューです。
それぞれ単独で行う場合や、組み合わせて、調査を行う場合があります。

 

アンケート

CS(顧客満足度)調査では、CS(顧客満足度)に関する質問を設定してアンケートが実施されます。

 

インタビュー

インタビューでは、インタビュアーが顧客に直接インタビューを行います。
インタビュー方法は、対面や電話、Webなどで実施し、1対1で行う場合と複数のグループで行う場合があります。

CS(顧客満足度)調査では、少人数(5~6名)の顧客にお願いして、座談会形式でインタビューを行うケースがあります。
複数で行うと発言による顧客間のコミュニケーションが生まれ、会話が発展していく可能性が高まります。
そのため、アンケート等では調査できなかった情報や顧客の本音が見つけられることがあります。

 

覆面調査

覆面調査は、ミステリーショッピングやミステリーショッパーとも呼ばれ、匿名の経験豊富な専門調査員が、買い物客となり、実際に買い物をしながら行う調査です。

覆面調査専門サービス企業では、厳しい審査に合格した専門調査員が、評価基準を明確にした客観的で精度の高い調査を行います。

覆面調査によって、従業員の接客サービスや店舗のコンディションを客観的に調査することができるため、自店の強み・弱みを発見し、ブランディング向上のために目指す姿と現状のギャップを把握することができます。

 

覆面調査の調査内容は、ブランディングで必要となる接客サービスや店舗コンディションがメインです。

覆面調査専門サービス企業では、調査結果を数値化・可視化し、比較・分析可能な報告書として提出します。
また、数値では表すことができない買い物客の本音の部分も、調査員のコメントを見ることで知ることが可能です。

 

さらに、調査結果の分析、問題点の抽出、改善提案や、覆面調査専門サービス企業が豊富な調査実績で培った知見を活かし、ブランディング向上のための具体的な提言・アドバイスを受けることもできます。

覆面調査をプロフェッショナルな専門サービス企業に依頼し、調査結果を効果的に活用することで、依頼主である企業や店舗は、着実にブランディングを進めることができるでしょう。

 

覆面調査をブランディングに活用した事例

企業ブランディングの効果や調査方法を解説|覆面調査の活用事例も紹介

 

この章では、覆面調査をブランディングに活用した事例として、地域で業界トップの売り上げを誇るスーパーの取り組みを紹介します。
同社は、地元名産品をはじめとする地産地消にも力を入れ、さらに全国からこだわりの品を集めるなどオリジナリティあふれる品揃えで、他のスーパーとは一線を画したスーパーマーケットとして、地元で支持されるブランディングに成功している企業です。

 

同社は、消費者に支持されている現状に甘んずることなく、さらに地域に愛される企業になることを目標に、さまざまな取り組みを行っています。
なかでも特に注力しているのが、自社の強みでもある「商品」「販売」「鮮度」「接客」「人財」の5つの質を、さらに高めていくための取り組みです。

 

同社が取り組む「商品」「販売」「鮮度」「接客」「人財」の5つの質の向上は、すべてブランディングの向上につながります。
しかも5つの質がそれぞれ単独で突き進むのではなく、相互作用することで相乗効果が生まれ、他の店にはない、独自性豊かな成長を遂げることが期待できます。

同社では、全店舗に顧客満足度委員会を設置し、各店舗で課題を共有しながら、課題解決に向けた取り組み方を従業員で話し合う場を設けています。

 

さらに、顧客満足度マネージャーによる全店舗の自社チェックを隔月で実施するとともに、覆面調査を導入しています。
ブランディング向上に欠かせない、挨拶や陳列、接客、レジチェッカーなどの細分化された項目を、自社チェックと覆面調査で評価し、その分析を基にしたブランディングの課題解決を会社全体で取り組んでいます。

同じチェックでも、社内で指摘されることと、覆面調査のチェックでは違った重みがあります。

 

社内の人間は、どうしても店舗内の事情までわかりすぎてしまうので、100%純粋にお客様目線での判断ができない場合があります。
一方で覆面調査によるチェックは、公平なお客様目線かつ、客観的な評価なので、いい意味でまったく忖度がありません。
そのため従業員は素直に受け止め、改善につとめています。

社内チェック、覆面調査チェックは店舗の従業員ルームに掲示してあり、誰でも確認できます。
これによって、従業員の意識向上に変化がありました。
朝礼時の意見交換などでは、以前までは各々の作業に関する報告・連絡が多かったのですが、近年ではチェック内容に関することや、さらには顧客満足度に対することにまで視野を広げて話す機会が増えています。

 

まとめ

ブランディングとは、ブランド価値を最大化することを目指す活動であり、企業内の全部門の全職員がブランド力向上につとめることで、ブランディングを向上させます。
特に、地域における企業経営には、地域のブランディング向上が非常に大切です。
挨拶や陳列、接客、レジチェッカーなどなど、顧客との接点の品質は、ブランディングを高める重要なポイントになります。
覆面調査をブランディング調査に活用することで大きな効果が期待できるでしょう。

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著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。