お客様が商品を買いたくなる!商品説明と販売のポイント
商品説明や販売の接客を改善するだけで、顧客満足度が向上し、売上アップにもつながります。しかし、人と人とのコミュニケーションであるがゆえに、具体的なコツを販売スタッフ自身が見つけ出すのは容易ではありません。
本記事では、商品説明や販売の具体的なコツを紹介します。よくやりがちなNG例についても解説していますので、ぜひ最後までお読みください。
購入につながる!商品説明のポイント5選
お客様に商品説明する際、文字通り「商品について説明する」だけでは不十分です。商品知識は共有できても、購入にはつながりません。
しかし、購入を促したいからといって強引な接客も逆効果となります。そこで、以下に商品説明のポイントを6つ紹介します。
これらを参考にして、購入につながる商品説明のテクニックを身につけましょう。
自然な会話を意識して「売り込まない」
お客様との会話で商品説明だけに集中することは避けましょう。なぜなら、「売り込まれている」という不安をお客様に与え、かえって購買意欲を低下させる原因となるからです。
たとえば、商品を次々と紹介し、お客様が決めるまで離れない圧迫的な接客や、お客様の興味や必要性を無視して商品を勧め続けるような接客は不快感を与えかねません。
お客様のニーズを理解し、自然な会話の中で適切な提案をして、心地よい買い物体験を提供しましょう。
商品知識や専門性を伝える
商品に関する知識と専門性を身につけ、いつでもお客様に伝えられるようにしましょう。お客様は単に商品を見るだけでなく、専門的なアドバイスを求めて店舗に来店されることも多いからです。
たとえば、カメラ専門店で「初心者向けの一眼レフカメラを探している」というお客様に対して、各機種の特徴や使い方、メリット・デメリットを詳しく説明できれば、お客様の信頼を得られます。また、商品の歴史や開発背景、使用上のコツなども交えた説明ができれば、より説得力のある提案ができるでしょう。
「6W2H」で商品の特徴を伝える
効果的な商品説明には、「6W2H」というフレームワークを活用しましょう。
たとえば、新作バッグを説明する際に6W2Hを活用すると、以下の形になります。
● What(何を):軽量で収納力のあるトートバッグ
● When(いつ):春夏シーズン向け
● Where(どこで):全国直営店で販売
● Who(誰が):有名デザイナーとのコラボ商品
● Whom(誰に):通勤するビジネスウーマン向け
● Why(なぜ):機能性とデザイン性の両立
● How(どのように):シーンに応じて形を変えられる
● How much(いくら):セール価格でのご提供
情報を体系化することで、お客様の知りたい情報を漏れなく提供できるでしょう。
ベネフィットを伝えて未来をイメージしてもらう
商品説明では、機能や特徴だけでなく、お客様の生活がどう豊かになるかを具体的に伝えましょう。お客様は商品そのものではなく、その商品がもたらす価値や体験を求めているからです。
たとえば、エアコンの説明で「省エネ機能付きです」と伝えるだけでは不十分です。ベネフィットを伝える場合は、「電気代を年間約20%節約でき、家計の負担を軽減できます。月の電気代が1万円のご家庭の場合、年間役24,000円の節約が期待できます」と仮定条件を示しながら具体的な数値とお客様の立場でのメリットを説明します。
わかりやすい言葉で伝える
商品説明では、誰にでも分かりやすい言葉を使いましょう。専門用語やカタカナ語は、商品の価値が正しく伝わらない可能性があるからです。
たとえば、「UVカット機能付きのイノベーティブな素材を使用」という説明では、「UVカット」や「イノベーティブ」という言葉がわからない可能性があります。そのため「日差しから肌を守る、肌に優しい新素材を使用」と言い換えると良いでしょう。
また、業界用語や専門的な表現は、できるだけ日常的な言葉に置き換えることを意識しましょう。お客様にとって身近な言葉を使うことで、商品の良さがすぐに伝わりやすくなります。
顧客満足度向上にもつながる!販売のポイント
商品説明後、販売をする際にも丁寧かつ親切な接客が大切です。温かみのある接客は、顧客満足度向上にもつながり、リピートのきっかけになります。
以下で4つのポイントを解説しますので、ぜひ普段の接客で心がけてみましょう。
お客様に快適な時間を提供する
お客様との会話は、天気や季節の話題から始めるなど、自然な接客を心がけましょう。販売圧力を感じさせないアプローチが、お客様の不安を取り除き、より快適な買い物環境を作り出します。
たとえば、「最近、春物は何か購入されましたか?」といった世間話から始め、その後「どうぞごゆっくりご覧ください」などの会話でも十分です。これにより、お客様は自分のペースで商品を選べるようになります。
絶妙な距離感のある接客は、お客様の滞在時間を延ばし、結果として新たな来店客を呼び込む好循環にもつながります。
感覚と理屈を使い分ける
商品の販売を促すためには、次の流れで魅力を伝えると効果的です。
1. 感覚的な魅力を伝える
2. 論理的な説明を加える
なぜなら、人は最初に感覚的な印象で興味を持ち、その後で理屈による裏付けを求めるからです。
たとえば、新作のジャケットを紹介する際には「この春らしい優しい色合いと、柔らかな素材感が特徴的です」と感覚的な魅力を伝えます。その後に、「防シワ加工が施されており、お手入れが簡単なのも特徴です」と機能面を説明します。
感覚と理屈をバランスよく組み合わせた説明が、お客様の納得感を高め、購入決定につながるのです。
商品の絞り込み提案して販売につなげる
商品選びに迷っているお客様がいたら、2~3点のおすすめ商品を提案しましょう。多くの選択肢の中から決めかねているお客様は、明確な判断軸がなく「なんとなくこういう物が欲しい」という程度の考えしかもっていないからです。
具体的な提案方法として、シーズン商品のコーナーでは、「この春一番人気のカーディガン」「着回しやすいベーシックTシャツ」など、特徴や価格帯の異なる商品を、POPや商品展示を活用しながら分かりやすく紹介しましょう。さらに、商品の特徴や人気の理由を説明することで、お客様の選択をサポートできます。
販売後のフォローでリピートにつなげる
商品販売後の接客にも気を遣いましょう。販売後にドライな態度をとってしまうと、顧客満足度が下がってしまいます。
たとえば、「きっと気に入っていただけると思います」といったようなコメントを添えてあげましょう。また、「このデザインはどんなコーディネートにも合わせやすいですよ」「こちらの素材は長く愛用していただけます」など、商品の価値を再確認する具体的なコメントを添えてあげることも、お客様の満足度を高める一言になります。
単なる「ありがとうございました」を超えた付加価値のある声かけが、お客様の再来店につながります。
販売や商品説明で注意すべき接客
販売や商品説明において、「よくやりがちな誤った接客」もあります。誤った接客は、顧客満足度を下げてしまい、次回の来店につながらなくなってしまうので注意しましょう。
とくに以下で紹介する接客は、良かれと思っておこなった接客が裏目に出てしまいやすいケースです。
それぞれを確認して、接客方法を見直してみましょう。
定番フレーズを単独で使う
商品説明でよく使われる「私も持っています」「売れています」といった定番フレーズは、効果的な接客とはいえません。販売員の言葉は、その人の個性や状況によって効果が大きく異なり、単なる決まり文句では魅力的に聞こえないからです。
そのため、定番フレーズにもう一言添える工夫をしましょう。たとえば、「私も持っています」と言うだけではなく「私もこのブルーライトメガネを使っていて、長時間のパソコン作業でも目が疲れにくくなりました」と具体的な使用体験を添えてあげます。
また、「売れています」という言葉も抽象的なので「とくに初心者の方に好評で、使いやすさが決め手になっているようです」と、その理由を付け加えてあげると、説得力が増すでしょう。
外見で判断してしまう
お客様の外見で商品の提案をしないようにしましょう。お客様のその日の服装は、必ずしも普段の好みや実際のニーズを反映していないことがあるからです。
たとえば、いつもカジュアルな服装の方が、仕事帰りにスーツ姿で来店されることもあれば、普段モノトーンを好む方が、特別な日にカラフルな服装をされていることもあります。そのため、「普段はどんなスタイルがお好みですか?」「どのような場面でお使いになる予定ですか?と丁寧にヒアリングして、お客様の本当のニーズを理解しましょう。
お客様の話を遮った提案
お客様の話は、最後まで遮ることなく、しっかりと聞きましょう。お客様のニーズを理解するには、話を最後まで聞くことが不可欠です。また、途中で話を遮ることは大きなストレスを与えてしまいます。
たとえば、お客様が「このサイズだと少し大きいかもしれない」と話している途中で、「でしたら、こちらの商品がおすすめです」と割り込んでしまうことは、適切な接客とは言えません。お客様の話を最後まで聞いた上で、「サイズ感についてのご心配があるようですね」と受け止め、その後に適切な提案をすることが好ましいでしょう。
お客様との距離感を近づけすぎない
お客様との会話では、プロとしての適切な距離感を保つようにしてください。過度に親しげな対応は、販売員としての信頼性を損ね、お客様に不快感を与える可能性があります。
たとえば、お客様から「デートで着たい」と相談された際に「えっ!いいなー!」と友達口調で反応してしまうケースです。お客様によっては好意的に感じる場合もありますが、なかには不快に感じる方もいます。
そのため、このような会話では「かしこまりました。特別な日に映えるデザインということでしたら、こちらの商品がおすすめですよ」といった専門的な提案をしてあげると良いでしょ。
日常会話に近づきすぎると、お客様は販売員として信頼できないと感じてしまうため、プロとしての節度ある対応を常に意識しましょう。
購入を焦らせない
お客様が商品購入を迷っている際は、「ゆっくり考えてみてください」と提案しましょう。強引な購入の勧めは、お客様の購買意欲を低下させてしまいます。
よくある例が「今買った方が良い」「売り切れになってしまう可能性があります」のような、購入を焦らせるケースです。このような言葉は、お客様に不信感を与える恐れがあります。反対に「他のお店も見てからでもいいですよ」のようなお客様の立場に立った提案は、信頼関係を築くことにつながります。
お客様の意思決定の自由を尊重し、長期的な関係を構築しましょう。
まとめ
商品説明や販売の一言は、お客様の満足度を高める絶好の機会です。今回紹介したポイントを意識するだけで、顧客満足度が高まり、さらにはリピーターの育成にもつながります。
とくに大切なのは、お客様との関係の構築です。単に「購入してもらおう」という姿勢では、不快感を与える可能性がありますし、リピートにつながりません。
プロとしての適切な距離感を意識して、何を伝えるべきか?伝えない方がよいことは何か?を判断し、丁寧な接客をおこなってください。
お客様が商品を買いたくなるような商品説明と販売ができているかを客観的に判断したい場合は、ミステリーショッパー(覆面調査)がおすすめです。
具体的な問題点が明らかになり、どこに改善の余地があるのかわかるので、改善策を立てやすく、確かな効果が期待できます。また継続的な調査により、普段から従業員に適度な緊張感が生まれ、接客に対する高い意識を持たせることができます。
また、エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、接客力向上・店舗スタッフ教育や研修を行っております。
「お客様視点」接客基本研修や「おもてなし」の極意、「この人からまた買いたい」と思われる顧客づくりなど、豊富な研修メニューからプロのコンサルタントがお客様の課題に応じた適切なプログラムをご提案します。
著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。