「トライアル」調査結果 【無料資料ダウンロード】

調査結果

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング(ARC)は、ミステリーショッピングのプロ集団であり、店頭のリアルな実態と、それが顧客の感情、再来店の意向に与える印象などを調査・分析するスペシャリスト集団です。ARCのスタッフ、調査員が好調企業の“店頭の実態=FACT”を調査し、それが顧客の「また来たい」という印象(これを私たちは『再来店動機』と呼んでいます)に与える要因をお伝えするのがこの連載です。

24回目を数える今回は、トライアル(企業としては「トライアルホールディングス」)の店舗を調査しました。大型店、小型店などを国内に352店舗展開し8,000億円超の売上高を誇るディスカウント性の高い店舗です。8月1日にはGMSチェーンの西友と経営統合、店舗数は602店舗で売上高は計画で1.3兆円にまで達する大チェーンになろうとしています。

そんな大注目の店舗を“微に入り細に入り”チェックをしてみました。(調査は7月実施、価格などは調査時)

PBは格安で“そこそこ品質” 非食品も揃う総合が魅力大

 

第一に調査スタッフが驚いたのが、そのプライベートブランドの数の多さと安さ、品質でした。

 

『トライアルブレッド(8枚切り)88円(本体価格、以下同)という安さだった。いつも朝食で食べているのはヤマザキの97円の商品と比べてトライアルブレッドの方が安い。どっちもモッチリやわらかをうたっているが生で食べる場合ヤマザキの方がしっとりしていて個人的には好み。しかしトライアルブレッドは手で簡単に割けるので分け合いたい時はトライアルブレッドの方が良い。焼いてトーストにしてしまえば変わらない』(『』内は別紙、ダウンロード用調査レポートから抜粋、以下同)。

 

加工食品だけでなくオリジナルの惣菜も『三元豚ロースカツ重277円はこの値段でこのボリュームと優しい味わい。他社の537円、475円(込・20%割引後)と比較すると破格すぎるという事が良くわかる。しかも容器の底が深くお米もぎっしり詰められているのが嬉しい。若干、肉の薄さを感じたが、価格からすると妥当というか、充分過ぎると感じた。たまごの味も濃くて美味しかった』の感想でした。

 

トライアルの特徴は“総合型の品揃え”で『食品以外のPB商品も幅広い品揃え。価格も安い。《例》AIRITY(下着)545円/天然ゴム手袋90円/ジップロック(デザインはママのアンケート)/毎日使いたい100回洗濯してもふっくらタオル298円・ウェットフローリングシート20枚74円/水切れがよく清潔なスポンジ59円』などです。

 

『トライアルのPB商品を実際に店頭で見て感じたことは、ウィンナーなどの加工商品、調味料、トイレタリー、菓子類、デザート類、パンなど食品だけでなく、スポンジやジップロックなどのキッチン用品、下着、さらに除草剤があったり園芸用品など品揃えの幅広さと生活に寄り添った価格設定に驚いた。共働き世代の私にとって「安い」「そこそこ質がいい」「頻繁に買う物が一度に揃う」というポイントは助かる』との声もありました。女性も高齢者も働く時代に日用大衆品の“そこそこ質が良いコモディティアイテム”が揃うのも嬉しい点です。安さと同時にこの“そこそこ質が良い”は物価高騰時代には注目されるポイントと感じます。

 

見栄えもオリジナル商品は魅力的で『ボリューム感もたっぷりのPBも多く驚いたし、見た目だけでも買いたくなった。例・たっぷり玉子サンド(185円)→とにかくたまごの分量が多く、こぼれ落ちる程だった。パンもふんわり柔らかく懐かしさを感じる優しい味だった』ということでした。

 

『PBの袋ラーメン醤油5食入り(188円)は麺とスープはそれぞれ異なるメーカーと組んで開発・・・醤油は寿がきや食品。ザ・インスタントラーメンという感じでおいしかった。特にスープにコクがあってシンプルに食べてもリピートしたくなる味でした』という商品開発手法。これは“仕掛品からチェーン側が所有権を持って別々の優秀なメーカーに発注して開発する”というチェーンストアのあるべきPBの開発手法であり、この点も驚きでした。

 

売場には『有機認定を受けた竹林で取れたオーガニック「オーガニックタケノコ」 321円』もあったようで、ディスカウントにも関わらず有機の品揃えが目についたようです。しかし世界最大のディスカウントストアのウォルマートにも普通にオーガニック食品が並ぶ時代、こうしたこだわりの品揃えも“同じ品質ならばより安く、同じ価格ならばより良く”のチェーンストアの大原則を踏まえたものでしょう。

 

 

ボリューム陳列でワクワク レジカートも簡便な買物提供

 

PBの販売方法も『PB商品と他メーカーの類似商品を並べて比較販売してPB商品の安さを際立たせているのは定番の取り組みと感じた』ということで原則通りです。

 

と同時に『パスタコーナーには麺とソースやトマト缶、うどん、そば、そうめんの棚にはめんつゆ、しょうが、わさび、お惣菜の近くにはごはんと合うお漬物など関連商品が連動的に陳列され思わず手が伸びてしまう仕掛けでクロスセルさせる工夫がされていた』というコメントや『水物商品やサッカー台に設置されているビニールは、手に取ったときには口が開いていて滑らず快適に使用できるものでした。マチがあり大きいので、袋に入れやすかったです』といった売場やサービスの細かな工夫があるのもトライアルの特徴です。

 

『陳列にボリューム感があった。カップラーメンやお菓子は天井まで積み上げるのかというほど、高く積み上げられていた。ボリューム感もあり目立ってはいた。/PBの紙コップや割りばしなどもレジ前に高く積み上げられていました。とてもボリューミーでした』というコメントや、『POPなども高いところから貼ってあり、陳列棚のエンドも高いところから商品を陳列させて、立体的に見せるよう工夫がされているように思えた。商品の量が沢山あって、高いところから陳列されていると、高揚感(ワクワク感)が強くなった』というコメントもあり、売場でエキサイトメントを感じたようです。

 

トライアルは競合する他店舗の視察“=ストアコンパリゾン”を徹底して行うチェーンで、例えば『「おいしい〇〇の選び方」シリーズのPOPがあるのでどういう状態のものが美味しいのか、お店で商品を選ぶ時の参考になると思った』はオーケーに、『生鮮の商品では精肉では「肉のトライアル」「専門店の品質」の表示があり、力を入れている、鮮魚も魅力的な商品がいくつか見られた』はロピアといった好調企業に学んでいると、筆者は推測します。顧客のために“良いことは真似る”の商売の原則通りの取り組みです。

 

トライアルはデジタル対応も積極的に取り組んでいる企業です。そのため店舗では自分でスキャンしてカートに入れ精算まで済ませるレジカート(スキップカート)が多くの店に置かれています。今回の調査でも『レジカート(スキップカート)は大変便利だった。スキップカートはバーコードをスキャンするところが、手元にあり、また読み取りもいいためストレスなくスキャンをすることができました。またそのままカゴに入れることもできるためとても便利でした』という声や、『レジカートはスキャンの精度が良く、すごく使いやすかった。マイバッグやカゴをセットすれば、すぐに退店できるので便利と感じた』というコメントがありました。

 

以前はプリペイドカードをカートに差し込む形だったと筆者は記憶しているのですが、今はバーコードをスキャンし、必要に応じてコードを入力するだけで登録できるようになっており、とても便利だと感じました。現在はバーコードをスキャンし、必要に応じてコードを入力するだけで登録できるようになっており、とても便利だと感じました。プリペイドカードを差し込むと忘れてしまう可能性もあるため、それが無いのが安心だった』と改良が進んでいるようです。日々進化するチェーンの姿が見て取れました。

 

私事で恐縮ですが都内のわが家の近隣の西友が、現在、トライアルに改装中で、床も、壁も、天井も、照明も変えて10月下旬にリニューアルオープンする予定です。個人的にはこうした物価上昇で苦しい時期に、このトライアルがどんな安さ、わくわくする売場で登場してくれるかは、大いに楽しみにしているところです。

 

詳細な調査結果は「優秀チェーン7つのエクセレント」を下記よりダウンロードしていただけます。
ぜひダウンロードしてご覧くださいませ。

 

 

 

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    自店の強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
    サービス・オブ・ザ・イヤーの調査実績から、
    業界水準(デファクトスタンダード)との比較も可能。
    調査結果を効果的に活用することで、着実にCSアップに導くことができます。

    著者プロフィール
    三浦美浩

    1987年 東北大学卒業、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長
    2011年8月 商業界取締役就任
    2017年1月 独立しロジカル・サポート㈱設立
    2020年4月 エイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)、現在にいたる

    長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。
    従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

    実査、報告書
    エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング㈱ 調査員

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