接客時間が長ければ満足度が高い?効率接客で売り上げアップ

コラム

店舗の接客は「親身で話を聞いてくれる方がよい」と思われがちですが、本当にそうでしょうか。お客様は希望に合う商品を購入するために来店しており、話を聞いてもらいたくて来店されているわけではありません。

ですから「丁寧な接客で時間をかける」という方法は、必ずしも正解とは言えません。

そこで本記事では、接客時間の考え方や接客効率のアップ方法について解説します。顧客満足度の向上と同時に売上の向上を目指せる方法なので、ぜひ実践してください。

 

 

接客時間が長ければ満足度が高くなるのか?

 

お客様との接客時間が長いからといって、必ずしも満足度が高くなるわけではありません。なぜなら、お客様によって買い物の仕方は大きく異なるからです。

たとえば、「これが欲しい!」とすぐに決める人もいれば、「どれにしようかな…」とじっくり選ぶ人もいます。同じ商品を買うのに、ある人は数分で決めるのに、別の人は1時間以上かかることもあるのです。

しかし、販売員は「時間をかけて接客したから、きっとお客様は満足しているはず」と考えがちです。大切なのは、一人ひとりのお客様に合わせた、ちょうどよい接客時間を心がけることです。

以下では、接客時間の考え方について解説します。お客様の考えをより理解して行動できるように、参考にしてみてください。

 

お客様は長い接客を求めているわけではない

お客様が本当に求めているのは、欲しい商品を手に入れて満足することです。

お客様にとって大切なのは、商品との出会いや購入後の満足感であり、購入までにかかった時間ではありません。

接客には適切な時間配分が重要で、ただ長ければいいというものではありません。大切なのは、お客様の目的達成をサポートする質の高い接客です。時間の長さではなく、お客様のニーズにあった応対を意識しましょう。

 

長い接客はお客様の時間を奪うこと

接客に要する時間は、「お客様から大切な時間を預かっている」ということを忘れてはいけません。お客様は商品を購入するために、限られた時間を使って来店してくださっています。

お客様の貴重な時間を預かっているという意識を持ち、効率的で質の高い接客を心がけることが、本当の意味でのお客様第一です。

 

お店都合で接客を長くしてはいけない

お客様一人ひとりに合った接客時間を提供することが、接客の基本です。店舗や販売員の都合で決めた接客時間は、お客様のニーズに合っているとは言えません。

「店内を賑やかに見せるために長く接客する」や「5分以内で接客を終わらせる」といったルールもお店によってはあるかもしれません。しかし、これらはすべて店舗側の都合です。

 

いい接客とは心遣いであり接客時間の長さではない

接客の質を決めるのは時間の長さではなく、お客様のニーズを的確に理解し、適切な対応ができるかどうかです。

たとえば、商品知識が豊富で、お客様の質問にすぐに答えられる販売員と、知識不足で説明に時間がかかる販売員では、同じ接客時間でも、お客様の満足度は大きく異なります。

そのため、接客の質を上げたいなら、まずは自分の接客を振り返り、改善点を見つけることから始めましょう。

 

 

接客時間が長くてもいいのはお客様が困っているときだけ

接客時間が長いことが、必ずしもマイナスの評価になるとは限りません。お客様によっては長く親身に対応してくれる販売員に好印象を持つ場合もあります。

ただし、このケースにおいても、お客様の心理を理解しなければなりません。なぜなら、お客様は単に雑談をしに来店されているわけではないからです。

では、どのような場合に長い接客が有効的になるのか、以下で2つのケースを紹介します。

 

お客様が困っている

お客様が商品について困っているときは、接客に時間をかけてもよいケースです。お客様のお困りごとを解決できるように、商品知識などについて詳しく説明してあげましょう。

ただし、お困りごとの内容によっても時間のかけ方は異なります。たとえば「この商品がどこにあるかわからない」といった内容であれば、時間をかける必要はありません。購入するものが決まっており、それがどこにあるかを知りたいだけですから、必要以上の時間をかけるとストレスを感じさせる可能性があります。

また、商品知識についても、販売員の一人しゃべりにならないように注意しましょう。

 

お客様からの質問がたえない

お客様からの質問が絶えないときは、お客様に合わせて接客を行いましょう。多くの質問が出てくるということは、それだけ商品に興味を持っているということです。また、専門的な知識を得たいというニーズもあるでしょう。

このような場合であれば、お客様が満足されるまで知識を共有していくべきです。反対に質問に対してドライな対応をしてしまうと、せっかくの興味が薄れてしまいかねません。

お客様からの質問は、販売のチャンスだと考えて丁寧に対応しましょう。

 

 

よくある長い接客の失敗例は販売員の一人しゃべり

 

長い時間をかけて接客をする場合でよくある失敗例が、販売員が一人でしゃべってしまうケースです。商品説明だけを一方的に続ける接客は、お客様の購買意欲を下げてしまうので注意しなければなりません。

なぜなら、お客様が本当に知りたいのは「自分に合う商品はどれか」であって、商品知識の一方的な説明ではないからです。たとえば、お客様が手に取ったすべての商品について「この商品は人気です」「これはトレンドです」と説明するだけでは、かえってお客様を迷わせてしまいます。

大切なのは、「今お持ちのものは?」「どんなイメージをお探しですか?」など、お客様の希望を聞き出し、ニーズに合った商品を絞って提案することです。

 

接客効率を高める5つのポイント

「長い接客=よい接客ではない」と解説しましたが、当然ながら極度に短い接客がよい接客でもありません。大切なのは、接客を効率化しながらも販売につなげる方法です。

接客効率を向上させると同時に顧客満足度を高められれば、店舗として最もよい状態になるでしょう。

以下で接客効率を高めるポイントを5つ紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

 

 

商品別の接客時間の目安を把握する

特定の商品に対して、接客から販売までにかかった時間を算出してみましょう。商品によってお客様が商品の購入を決めるまでの時間は異なるからです。

たとえば、ある商品は約1時間の丁寧な説明が効果的で、別の商品は10分程度の簡潔な説明で十分というケースがあります。この最適な時間を意識して接客することで、お客様の満足度を高めながら、仕事の効率と売上の向上を同時に実現できるのです。

また、目安の接客時間がわかることで、接客が長引いてしまった場合の引き際もわかりやすくなります。

 

お客様へ伝える内容をチェックリスト化する

お客様へ伝える内容を、整理してチェックリスト化しましょう。接客が長引いてしまう原因の一つは、伝える情報が整理されていないことです。そのため、「どの情報を伝え、どの情報を聞いて、どのような補足をするか」などを考えておくと、スムーズな接客ができます。

たとえば、以下のように考えてみましょう。

 

● お客様の疑問を聞いたか?
● お客様の理想を聞いたか?
● この商品の魅力を伝えたか?
● 価格や在庫について説明したか?

 

このように「お客様に聞くことや伝えること」を整理しておけば、必要な情報のみをお客様に伝えられます。

ただし、チェックリストといっても実際に紙のリストを持ち歩くわけではありません。販売員の頭の中で整理して話せるように、研修などを行うとよいでしょう。

 

販売員の役割分担を明確にする

接客効率を高めるために、販売員の役割分担を明確にしておきましょう。忙しい時間帯でも効率的な店舗運営が可能になります。

たとえば、在庫確認や商品整理などの担当を決めることで、複数のお客様に同時に対応できます。あるスタッフが接客中でも、在庫確認担当のスタッフがバックヤードから商品を持ってくることができれば、接客効率が向上するでしょう。

ただし、このときに大切なのは「商品の確認は他のスタッフがおこないますので、こちらでお待ちください」といった具合に、お客様への説明を忘れないことです。役割分担で業務の効率を上げながら、丁寧な説明で安心感も提供しましょう。

 

質問をまとめる

質問をまとめて一度に聞くことで、短時間でもお客様の満足度を保つ接客ができます。バラバラに質問するよりも、お客様の希望を効率的に把握できるようになります。

たとえば、以下のような質問があると想定します。

 

「色はどちらがお好みですか?」
「形はいかがされますか?」
「どんな場面で使用されますか?」

 

この場合では、一つひとつの質問に時間がかかってしまいます。そのため、次のように質問をまとめてみましょう。

 

「色や形、使いたいシーンなど、何かイメージはありますか?」

 

このように、質問の仕方を工夫することで、接客時間を短縮しながらも、お客様の要望を丁寧に聞き取れます。

 

商品を絞り込んだ提案をする

一度に多くの商品を提案すると、接客の時間がかかるうえにお客様の購買意欲を下げてしまいます。選択肢が多すぎると、お客様は何を選べばよいか分からなくなり、決断が難しくなってしまうからです。

たとえば、お客様に10点以上の商品を一度に見せて説明すると、最初は興味を示していても、次第に悩み始めてしまいます。そのため、まずはお客様の好みに合いそうな3~4点に絞って提案し、必要に応じて新たな商品を追加で提案する方が、スムーズな購買につながります。

 

 

まとめ

接客で最も大切なことは「お客様の求めていることを提案する」です。「接客時間が長ければ長いほどよい」という考えも、決して間違いとは言えないものの、お客様が望んでいる接客ではない可能性があります。

「お客様は商品を購入したくて来店している」ということを念頭に置き、状況に応じた接客を心がけてください。その際、本記事の内容が役に立つかと思いますので、ぜひ自店舗で実践してみてください。

 

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著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。