スタッフが育つ!やる気と行動力をアップするコミュニケーションスキルとは?
目次
「スタッフが育たない」
「スタッフのやる気が下がっている」
「スタッフの行動力が低い」
こういった問題の原因はスタッフ自身ではなく、上司の関わり方にあるかもしれません。スタッフのやる気や行動力は、上司のコミュニケーション次第で大きく変わります。
そこで本記事では、スタッフのやる気や行動力を高めるために上司に必要なコミュニケーションスキルについて解説します。
スタッフが育たない原因は上司のコミュニケーションスキル
スタッフが育たない原因の一つは、上司のコミュニケーションスタイルである可能性が高いです。とくに上司が注意しておきたいのが、以下3つのようなコミュニケーションです。
● 否定的な態度:提案や意見を否定する
● 高圧的な態度:威圧的な口調や態度で指示を出す
● 見下すような態度:相手を軽視するような言動を取る
このような上司の態度は、スタッフの心理的安全性を低下させます。スタッフは自分の弱みや不足している部分を正直に伝えることができなくなり、その結果、成長の機会を逃してしまうのです。
とくに注意が必要なケース:新人や異動者への対応
新人や異動したばかりのスタッフには、より丁寧なコミュニケーションが欠かせません。なぜなら、仕事や職場環境への不安を抱えている時期に周囲との関係が希薄だと、孤独感から成長の機会を逃してしまう可能性が高いからです。
上司の業務が忙しい場合でも、定期的な声かけや、進捗確認の機会を設けて、コミュニケーションを図りましょう。
スタッフのやる気を削いでしまうNGなコミュニケーション例
スタッフを育てるためには、効果的なコミュニケーションが欠かせません。しかし、思うようにスタッフが育たない場合、その原因は「伝え方」にあるかもしれません。
以下に、よくあるNG例を紹介しますので、日頃のやり取りを振り返りながら、同じような行動をとっていないか、チェックしてみましょう。
話を聞く姿勢になっていない
スタッフから話しかけられた際は、必ず「対話の姿勢」をとってください。仕事中にパソコンを見たまま話を聞いたり、形だけの相づちを打ったりするような表面的な対応は、スタッフのやる気を大きく低下させてしまいます。
このような態度は「話に関心がない」と受け取られやすく、報告や相談をする意欲を失わせてしまいます。
そのほかにも、「今忙しいから」と目を合わせない対応や、「うんうん」と適当に気のない返事をするだけでは、信頼関係の面でマイナスに働いてしまいます。
指示出しをコミュニケーションと考えてしまっている
指示を出すことは、本当の意味でのコミュニケーションとはいえません。スタッフの意見や考えを聞かずに指示ばかり出していては、ただの命令になってしまい、スタッフが成長するチャンスを奪ってしまいます。
大切なのは、スタッフ自身が考え、行動できるような会話を心がけ、時には失敗も経験させながら成長を支えることです。
褒めるだけのコミュニケーションに注意
スタッフのやる気を伸ばすために、「褒める」ことに重点を置いている方も多いと思いますが、単に褒めるだけではスタッフは成長しません。褒め方にも、効果的なものとそうでないものがあるからです。
簡単なことを褒めてしまう
簡単な作業を過度に褒めると、スタッフは「この程度の仕事が自分の実力だと思われている」と感じてしまう可能性があります。これ逆効果となり、成長意欲の低下にもつながります。
たとえば、誰でもできるような基本的な業務を「すごい!」「よくできました!」と大げさに褒めると、「上司は本当に私の実力を認めているのだろうか」という不信感が生まれかねません。
大切なのは、スタッフの実力に見合った適切な評価と、さらなる成長を促す建設的な対話です。
褒め方が具体的でない
「すごいね!」「頑張ったね!」といった漠然とした褒め言葉だけでは、スタッフは何を評価されているのかが分からず、次の行動に活かせなくなります。
たとえば、プレゼン後に単に「よかったよ」と言うのではなく、「お客様の課題を的確に分析して、具体的な解決策を提案できていましたね」と、具体的に伝えることが効果的です。さらに「次は数字的な裏付けも加えるともっと説得力が増しますよ」といった前向きな成長のヒントも伝えてあげると、信頼関係を深め、コミュニケーションの質も高くなります。
スタッフを育てるために必要なコミュニケーションスキル
上司に必要なコミュニケーションスキルとして、以下の3つがあります。
● 伝えるスキル
● 傾聴力
● 我慢力
ただ「話す」「聞く」だけのコミュニケーションでは、スタッフは育ちません。
以下で3つのポイントの重要性や具体例を解説します。
伝えるスキル
スタッフに確実に情報を伝えるためには、「どう話すか」が重要です。同じ内容でも伝え方によって、相手の理解の深さや受け取り方が大きく異なるからです。
話し方一つでも、以下のような工夫ができます。
● 話のスピードに緩急をつける
● 適切な間を取る
● 相手に合わせた言葉を選ぶ
また、感情表現を豊かにして、声の調子を工夫することで、相手の興味や関心を引き出しやすくなります。
傾聴力
スタッフの話を聞く際は、「聴く姿勢」が大切です。どんな内容でも確認しながら聞きましょう。ただ「そうですね」と相槌を打つだけでは、誤解を生み出してしまう可能性があります。
スタッフの説明が分かりづらい時は、「すみません、その部分をもう一度詳しく説明していただけますか?」と素直に尋ねましょう。これにより、「ちゃんと聞いていくれている」と感じ、深い対話が生まれます。
本音で向き合い、必要に応じて質問する傾聴の姿勢が、スタッフとの信頼関係を築き、効果的な育成につながるのです。
我慢力
経験豊富な上司ほど、スタッフの成長のために「待つ」ことが必要です。すぐに答えを教えたり、ミスを指摘したりすることは、スタッフが自ら考え、気づく機会を奪ってしまいます。
たとえば、相談を受けた際にすぐに解決策を提示するのではなく、スタッフ自身が答えを見つけられるよう導いたり、小さなミスに気が付いても見守ったりしてあげましょう。
「教えたい」「助けたい」という気持ちを抑え、スタッフの自主性を尊重することが、真の育成につながります。
スタッフのやる気を引き出すペップトーク
コミュニケーションスキルの一つとして、ペップトークを取り入れてみましょう。ペップトークとは、スポーツ界で生まれた「短い激励メッセージ」のことで、ポジティブな言葉で相手を勇気づける手法です。
ビジネスシーンでいえば、大切なプレゼンや商談の前、重要な会議の開始時など、集中力とやる気を高めたい場面で効果を発揮します。
以下では、ペップトークのポイントについて解説するので、スタッフの意欲を高めるためのコミュニケーションとして取り入れてみてください。
ポジティブで肯定的な言葉を使う
ペップトークでは、必ず肯定的な言葉を選んで伝えましょう。人の脳は否定形を理解しにくく、「〜しないように」という表現を使うと、かえってネガティブなイメージが相手に伝わってしまいます。たとえば、プレゼン前に「緊張しないで!」と声をかけると、逆に「緊張」を意識させてしまうようなケースが典型な例です。
代わりに「リラックスして!」「あなたの言葉で伝えよう!」など、前向きな表現を使うことで、相手の気持ちを上向きにし、本来の力を引き出すことができるのです。
短い言葉を使う
ペップトークでは、短く簡潔な言葉を使います。緊張や不安を感じている相手の心に対して、一瞬で前向きな感情を生み出すことが目的だからです。
たとえば、「楽しもう!」「できる!」「あなたなら大丈夫!」といった短い言葉は、相手の心に響き、やる気を引き出します。逆に、長い説明や複雑な言葉は、相手の緊張をさらに高めたり、メッセージを伝わりにくくしたりしてしまいます。
シンプルで力強い言葉を選ぶことが、ペップトークを成功させるポイントです。
簡単な言葉を使う
ペップトークでは、誰でもすぐに理解できる簡単な言葉を使いましょう。相手に確実に伝わってこそ、モチベーションを高める効果が得られるからです。
たとえば、普段使っている言葉でシンプルに伝えたり、チーム内で共有している言葉を活用したりすることで、親しみやすさが加わり、メッセージがより心に響きます。また、組織独自の言葉(合言葉やスローガン)を使うことは、仲間意識も高められます。
相手に合わせた分かりやすい言葉選びが、ペップトークを成功させるポイントとなるのです。
相手に合わせた言葉を使う
ペップトークでは、相手の性格やタイプに合わせた言葉を選んぶことが大切です。やる気を引き出すきっかけとなる言葉は、人によって大きく異なるからです。
たとえば、プレッシャーで実力を発揮するタイプには「ここが勝負!頼むぞ!」と背中を押し、リラックスして力を出せるタイプには「楽しんで!いつも通りでOK!」と安心感のある言葉をかけます。
相手の特性をよく理解し、その人が最も求めている言葉を選んで伝えることで、ペップトークは最大の効果を発揮します。
言葉だけではなく心から励ます
ペップトークは、相手を心から応援する気持ちがあってこそ効果を発揮します。言葉だけのテクニックでは相手の心に届きません。本気で成功してほしい、成長してほしいという想いがあってはじめて、相手のやる気がアップします。
ペップトークは単なる技術ではなく、真摯な関わりがあってこそ、真の力を発揮するものだと理解しておきましょう。
まとめ
スタッフの成長を促すために、まずは上司のコミュニケーションの図り方を見直してみてください。とくに上司に求められるコミュニケーションスキルとして、以下の4つがあります。
● 伝えるスキル
● 傾聴力
● 我慢力
● ペップトーク
これらを理解して実践すれば、スタッフとのコミュニケーションが円滑になり、やる気や行動力も高められます。
明日からでも実践できる方法なので、ぜひスタッフ育成の一つとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
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著者プロフィール
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング編集部
エイジスリサーチ・アンド・コンサルティングは、客観的調査データを活用したCSマネジメント体制を確立。ミステリーショッピングを中心とする「トータル・コンサルティング」で、お客様の店舗に最適なソリューションをご提案します。