食品スーパー「イトーヨーカドー」調査結果 【無料資料ダウンロード】

調査結果

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング(ARC)は、ミステリーショッピングのプロ集団であり、店頭のリアルな実態と、それが顧客の感情、再来店の意向に与える印象などを調査・分析するスペシャリスト集団です。好調企業の現状の店頭の実態=FACTを調査し、それが顧客の「また来たい」という印象(私たちはこれを「再来店動機」と呼んでいます)に与える要因などを解析することで、小売業の皆さんにこんな時代のお客さまの “琴線に触れるポイント”“また来たいと思ってもらえる勘どころ”を伝えたいと考えました。

これまでの連載では食品主体のスーパーマーケットを中心に取り上げてきましたが、今回は衣食住フルラインの商品を展開する総合スーパー(GMS)のイトーヨーカ堂をARCのスタッフがウォッチしました。

イトーヨーカ堂は北海道から近畿圏までに128店舗を展開し営業収益は1兆675億円で食品の売上高5062億円、衣料品と住居関連を合わせた“ライフスタイル”が2199億円のスケールです。「洋華堂」の創業は1920年ですから立派な“100年企業”です。

ということで今回は、商品、価格などの関する項目は食品とライフスタイルに分けて調査を実施しました。

 

部門を超えたクロスMDで GMSの“総合らしさ”実現

今回の調査でスタッフが見つけた第一の特徴は、広い客層に対応しようとするイトーヨーカ堂の“GMSらしさ”です。

 

「住居余暇のキャンプ用品などのアウトドアから、シニア商品(カート、杖、補聴器)など、とにかく全包囲の品揃えだった」など広い年代層に対応していることが目立ちました(「」内は調査員の記述コメント、以下同)。GMSでの買物に慣れてきた調査員からは、「広い年代にアピールする姿勢がグッドポイント。シニア商品は『楽ちんヒアリング 大きく聞こえて 快適・安心』と目立つコーナーを展開している」「『新生活様式グッズ』はエレベーターを上がってすぐの場所に展開され、キッズ関連の品ぞろえも充実。ファミリー層であれば、やはり買物がしやすい」といった声もありました。「サイズ見本が充実していた(ファミリー向け)」なども家族連れには嬉しいポイントです。

 

接客面でも、川崎市内の店では「住余フロアでは『好きです川崎 愛の街』、食品売場では『イトーヨーカドーは楽しいな』みたいな曲が流れ、地元とイトーヨーカドーが好きなことを無意識に記憶に残る環境があった」というように地域のファミリー層に定着していることもはっきり分かる雰囲気もありました。

 

この“GMSらしさ”を実現する売場づくりの技術は“クロスマーチャンダイジング”。衣食住の大分類の枠を超えた集合展開などの工夫や、青果、鮮魚、精肉などの部門の垣根を超えた関連陳列などが欠かせないのですが、こうした“部門を超えた取り組み”が秀逸なのもイトーヨーカ堂の以前からの特徴です。

 

店頭では「売場のテーマがわかりやすい。楽しくなるような売場演出があった(居酒屋気分、キャンプ、雨の日コーナー)」といった提案で楽しい買物を分かりやすいテーマで訴求したり、「GMSならではの部門を超えた商品提案があった(食品で住余商品、ピザとピザカッター、カレーとスプーン)」「精肉コーナーの上の方にスパイスが置いてあり便利だと感じた」ちょっとした関連販売がお客さまの買いやすさ、買物の便利さを作っていることが分かりました。

 

ともするとこうした売場やディスプレーは“メンテナンスをどの部門、担当者が行うのか?”などが課題になる節もありますが、そうした“横串し”の取り組みが得意なのがヨーカ堂であり、そんなことがよく分かる店が多かったようです。

 

商品、品質へのこだわりを 細かで丁寧な説明で表現

調査員が感じた第二の特徴は、商品や売場表示での“品質のこだわりとその説明の丁寧さ”です。

 

青果売場では「“選ぶ『理由』がある野菜”という表示があった」り「もやしやほうれん草に『顔の見える野菜』として生産者の名前や似顔絵が書いてあった」など生産へのこだわりを訴求。惣菜売場では商品名自体を「『じっくり炊いたほっくり南瓜煮』『特製だしつゆ使用際立つ旨み』『ごま油香る!ランチョンミート入り ゴーヤチャンプルー』『北海道名物 ザンギ にんにくガッツ!!』ネーミングが斬新だった」など他社にはないネーミングもありました。

 

春夏秋冬だけでなく、「二十四の季節をおもてなしの表示があった(一年中季節の商品でおもてなししていることを感じられる)」と二十四節気も訴求して細かな季節感を伝える努力もありました。

 

ライフスタイルでも「首ひもがゴム仕様でつけ外しらくらく、汚れにくいエプロンなど、いいね!と思える機能をさりげなく追加した衣料品が特徴だった」「機能性のアピール『綿100%で通気性が良く過ごしやすい 寝返りしやすいパターン』設計のパジャマがあった」など商品へのこだわりが満載でした。「シャツのサイズ一覧表が掲出されていた(衿周り/肩幅/胸周り/胴回り/腰周り のサイズ)」といった細かな表示だけでなく、例えば「バレーシューズ(上履き)説明がわかりやすいし見本も充実していた」などお客さまに商品の特徴を伝える努力は徹底していることも分かりました。

 

売場では話題のSDGsの取り組みも多く表示がなされていて「「Chef’s RECIPE シェフズ レシピ」(必要な材料が必要な分だけパックになっているから食材のロスが少なく環境にも優しい商品です)と、ロスに配慮した簡単調理食品も展開されていた」など簡便商品を環境視点から解説するような表示も多くありました。
「顔の見える野菜」の歴史は既に20年。商品へのこだわりとそれを正面からお客さまに伝えようとする表示の細かさ、丁寧さは商品や売場の差別化につながります。こうした継続的なアクションも歴史的にイトーヨーカ堂が得意とするところです。

 

品質とバランスした価格 バンドル、表示などの訴求

こうした好印象に対して、イトーヨーカ堂のマイナスイメージは“価格が高い”という点でしょうか。こうした印象を消すべく、今回の調査でも目立ったのは“値ごろ価格のイメージづくり”です。

 

食品フロアでは「本マグロ切り落とし120g・888円(税抜き)は安く感じた」「手作りハンバーガーはほぼ298円でボリューミーだった」など品質と価格がバランスが取れていると感じた調査員も多くいました。店内には「いろいろなお得なのぼりや表示があった(ポイント10倍、ザ・プライス(焼うどん・さきいか・たくあんなど)、いつでもいい値、月初の市(肉や魚・1日~3日)、お買い得商品、冷凍食品がいつでもお買い得)」などの価格訴求も多くありました。

 

ライフスタイルでも「『¥1500均一』『¥1000均一』『お買い得品』がまとまって展示されていた」売場があったり、「BODY COOLER 2点以上お買い上げで20%OFFのまとめ買いが多かった」などバンドル販売による安さ訴求もありました。「『THE PRICE』低価格といつもの品質にこだわったイトーヨーカドーのプライベートブランドと表示されていた」と品質と低価格へのこだわりPBの説明もありました。

 

こだわり品質と買いやすい価格のバランスを確保しようとする売場の姿がこんなところに見られました。

 

「『従業員が不慣れですので、時間がかかる場合がありますが、ご容赦ください』と、ほとんどのレジに掲載されていた。従業員を守る姿勢が良いと思った」「除菌にしても、まじめに、しっかりと続ける、という点がイトーヨーカドーの安心ブランドなのだと感じられた」などと表現したスタッフもいました。

 

私たちが今回の店頭調査を通じて感じたのは、品質へのこだわり、値ごろ感、横串さした取り組みなど全てに通じる、100年企業の一貫した姿勢であり、これこそ“イトーヨーカ堂らしさ”なのでした。

 

詳細な調査結果は「優秀チェーン7つのエクセレント」を下記よりダウンロードして頂けます。
ぜひダウンロードしてご覧くださいませ。

 

 

イトーヨーカドーダウンロード資料|エイジスリサーチコンサルティング

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    自店の強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
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    業界水準(デファクトスタンダード)との比較も可能。
    調査結果を効果的に活用することで、着実にCSアップに導くことができます。

    著者プロフィール
    三浦美浩

    1987年 東北大学卒業、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長
    2011年8月 商業界取締役就任
    2017年1月 独立しロジカル・サポート㈱設立
    2020年4月 エイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)、現在にいたる

    長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。
    従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

    実査、報告書
    エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング㈱ 調査員

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