「しまむら」調査結果 【無料資料ダウンロード】

調査結果

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング(ARC)は、ミステリーショッピングのプロ集団であり、店頭のリアルな実態と、それが顧客の感情、再来店の意向に与える印象などを調査・分析するスペシャリスト集団です。ARCスタッフ、調査員が好調企業の“店頭の実態=FACT”を調査し、それが顧客の「また来たい」という印象(私たちはこれを『再来店動機』と呼んでいます)に与える要因を解析するのがこの連載です。分析を通じて好調企業が支持される要因を導き出し、多くの小売業、チェーンストアの皆さんにお客さまの “琴線に触れるポイント”“また来たいと思ってもらえる勘どころ”を伝えたいと考えています。

今回は、初めて衣料品の専門店チェーン「しまむら」をウォッチしてみました。

着心地にこだわったPB 顧客層絞ったSNS販促

しまむら調査結果ダウンロード

しまむらグループは「総合ファッションセンター『しまむら』を中核として、ヤングカジュアル『アベイル』、マタニティ関連の『バースデー』、婦人雑貨『シャンブル』、靴の『ディバロ』などの特定の市場をターゲットとした専門店を展開している」衣料品チェーンです(「」内は調査スタッフのレポートより、別途ダウンロード可)。全社売上高は6161億円で営業利益は533億円、営業利益率8.7%の優良チェーンでグループ店舗数は国内で2173店舗で、衣料品分野では最大の店舗数を有するチェーンストアです(2023年2月期)。

 

今回はこの中で売上高4715億円、店舗数1418店舗でグループの中核となる婦人、紳士、子供、服飾などを品揃えする総合型の「しまむら」を視察しました(視察は2023年8月、店舗名は「ファッションセンターしまむら」)。

 

最初に調査スタッフが驚いたのは、そのオリジナルブランドの多彩さです。売場にはプライベートブランド(PB)のCLOSSHIのシリーズが多数あり「老若男女の衣料品において日常用やビジネス向けスポーツ向けにPBを開発販売し幅広いラインナップを展開」していました。

 

サプライヤーとの共同開発ブランド(Joint Development Brand、「JB」と称している)も複数あり「『しまむら×nishikawa 洗って乾かせる羽毛肌掛けふとん』『しまむら×長崎FACTORY こだわりの着心地パジャマ』などメーカーとのコラボ商品も見かけた」との気付きもありました。

 

PBのCLOSSHIを実際に着けてみたスタッフもいましたが「PB『CLOSSHI』着圧ストキング3足790円<税込、以下同>、試してみた(この価格で着圧18hPa<ヘクトパスカル>・・?絶対本物じゃない!と思ったのに、しっかりFukusuke!!着圧感もちゃんとしている♪伝線にも強い)」と驚きの声がありました。

 

こうした商品の購買促進は「SNSとの連携により口コミで若い世代に訴求している。売場づくりからして、今しまむらで最もコラボ商品に力を入れているという事がわかる。(若い女性向け(今どき)FLASH BLUE 近藤千尋(モデル)/若い女性向け(天使ファッション)インスタグラマー ぬた<中略>/女性向けボトム特集 しまデ二 3人のインフルエンサー MARIE、AYANO、田中里奈)」など最先端のプロモーション手法でした。

 

同時に「他にも働く女性向け、ミセス向けなどターゲット顧客を設定したPB展開になっている(働く女性向け(美コーデ)michill/<中略>ミセス向け as-ideal ワンランク上の着心地 渡辺真理)」とターゲット顧客が明確な選びやすい商品展開になっていることが分かります。

 

総合品揃えということで子供向けも多く自宅に戻ったらしまむら商品があったということで「西松屋と比較すると人気キャラクターのラインナップが圧倒的に充実している。子供向けは1シーズンで終わる事が多いが、この商品は2年目突入中(パウパトロール子供用のお昼寝用布団/マインクラフト マイゼン子供用パジャマ、寝袋)」と機能面でも、「小さい子供から10代が喜ぶキャラクターを取り揃えている(サンリオ、アニメキャラなど)⇒アクセサリー、ポーチ、サンダルいろいろ」などブランド展開面でも進んでいることが分かります。

 

「PBは”実感できる毎日”をコンセプトに着心地、使い心地、触り心地にこだわり『より豊かで』『より楽しい』暮らしを応援するアイテムが多かった」という感想もありました。

 

コロナ禍で衣料品が売れない時期があり一時、苦境に立たされたアパレルメーカーとしてもこの規模で商品展開をしてくれればウエルカム!各種ブランドの多彩さはグループ2200店チェーンのメリットと言えます。

 

PBとハッピーアイテム 驚きの低価格で点数増

 

価格も驚きでした。

 

実はしまむらに初めて足を運んだスタッフもいたのですが紳士の分野でも「ほとんどの商品が安い(広告の品 CLOSSHI オックスフォードシャツ1,639円/CLOSSHI FIBER DRY 2枚組インナー1,089円/CLOSSHI FIBER DRY 3足組ソックス CLOSSHI PREMIUM 649円/CLOSSHI 539円)」などPBのお得感は高かったようです。大手チェーンのPBよりも圧倒的に安い商品も多かったようです。

 

またPB以外にも店内にはインストアプロモーションの特売である「ハッピーアイテムといういつでもお得な生活応援アイテムが特に安い(靴下2足190円/ワンピース990円/スリッパ290円)」もあります。衣料品以外にも「全てのジャンルで安いがSALE品は更にお買い得になっている(ビジネスシューズ 3,200円/ファンデーション(日本製)500円 ※ドンキホーテと同額/フェイスタオル 5枚390円)」など手軽に買えたようです。

 

しまむらグループのビジネスモデルは、そのロジスティクスと“売り切りの手法”にあります。商品は全て自社物流センターを通じて店舗に届きますが、本部では全国の店舗の商品動向を色別・サイズ別・デザイン別・地域別など様々な角度から分析し、売れている商品は補充し続け、また売れない商品はセンターへの“戻り車”などを活用し売れている地域に移動させます。当初計画と販売数量の乖離がある商品(残っている商品)は全国の“売れている売価”を参照して徹底的に値下げし売り切ってしまいます(不良品を除き全社の廃棄枚数はゼロ)。値下げは極限まで減るので、高い値入率は必要なく、当初から値頃価格で販売するが可能になるのです。

 

しまむら業態の全店の買上点数は3.1点で、この点数は安さあればこそ!安いからこそ「トルソーには靴やバッグまでコーディネートしてアピールをしていた。流行りのコーディネートで無理せず手に届きそうなアイテムで、好感が持てた」「冠婚葬祭なんでもそろう」というトータルコーディネーションは実現できるし「しまむら価格なら、兄弟お揃いコーデも手を出しやすい」のでファミリーコーデが可能になります。

 

「視察前は安かろう悪かろうのイメージをしていたが改めて今回の体験を通して他社比較の結果、やはり低価格という事を実感し庶民の味方という意味が分かった」と印象を大いに変えたスタッフもいました。

 

品切れは電話で他店問合せ レジも笑顔で苦もなく高感度

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しまむらのビジネスモデルで考えれば、その品揃えは端的に言えば“各店でバラバラ”になります。実はこれもしまむらの大きな特徴です。

 

だからこそ重要になるのは、第一に選びやすさです。しまむらでは店外側のディスプレーも重視していて「店頭のショーウインドウでも価格値札が見えるように展示してい」てその安さが伝わる形になっていますし、売場でも「通路側に向けてマネキンを使ったコーディネートの提案がある」「売場ごとに写真付きで売場名を表示している」など、どこにどんな商品があるかは、一目瞭然です。肌着は「インナーの肌さわりが試せて買いやすい」などの仕掛けもありました。

 

肩を出す形のショルダー陳列している売場の商品の「ハンガーにはサイズやセットアップの内容など、商品を選ぶ際の情報がつけてあり、わかりやすいと思った。選びやすい」という工夫もあります。徹底してセルフサービスで購入できる売場はできていて、しかも「ベテラン主婦層のスタッフ多め!走り回るお子さまにも余裕の笑顔で対応していた♪」のもあって、「挨拶は全く無かった」のですが店の雰囲気は良かったようです。

 

第二に“バラバラ品揃え”で重要な点は、尋ねられた際の接客対応です。店舗限定商品などもありますので、欠かせない対応です。今回の調査では「キャラクターコラボのキャンペーン日で、スタッフに『チラシに出ていたJOJOのTシャツはどこですか?』と聞くと『もう在庫が無いんです』と申し訳無さそうにお詫びがあり、『そういえば、さっき別の店舗にあるという情報があったので、電話して在庫確認しますね』と言ってくれ寄り添った接客だと感じた」とか「商品のサイズがあるか確認すると、すぐに在庫確認をしてくれた。商品がないことが分かると近くの店舗からの取り寄せを提案してくれた(取り寄せ期間は約一週間とのこと)。自分で近くの店舗に行ってみると伝えると、商品番号と価格をメモしてくれた」など、確実に入手できる方法を案内する徹底ぶりです。店舗数も多いので、お客さまが別の店に行くことも“不”にならないのは強みと言えます。

 

返品対応なども的確で「安さにつられて購入したものの、なんとなく違う?ということもあるようで、店内にいる間に、返品対応の3ケースに遭遇した。しかしスタッフは慣れたもの♪まったく慌てる様子を見せなかった」というマニュアルの的確さも“しまむららしい”ものでした。

 

最後にこの店で重要なのは、時間をかけて探して購入した際のレジでの対応でしょう。「若い女性スタッフがレジ応対をした。『いらっしゃいませ』『ポイントカード保持確認』『袋希望かどうか』など笑顔で応対をしてくれとても感じが良かった」「レジスタッフは挨拶を明るい声で行い、最後まで笑顔を絶やさなかった。バッグを購入する際『中の詰め物は取りますか?』と確認してくれて、ありがたいと思った。バッグの中の詰め物を外してくれる対応は初めてだった」など高いレベルのレジ対応でした。これなら時間のかけた買物の精算も苦になりません。
「床はライトが反射するくらいピカピカ(幼児が多いのに汚れてない!)」「清掃は行き届いていて床も綺麗、試着室も綺麗だった」などハード面も万全です。

 

しまむらの年間の来店客数は1億6563万人で、日本の老若男女全てが必ず一度は来店し、また“再来店”をする消費者が多い計算です。これを実現する要因は商品力であり、安さであり、接客力など全てがバランスよく保たれたところにあります。

 

詳細な調査結果は「優秀チェーン7つのエクセレント」を下記よりダウンロードして頂けます。
ぜひダウンロードしてご覧くださいませ。

 

 

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    自店の強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
    サービス・オブ・ザ・イヤーの調査実績から、
    業界水準(デファクトスタンダード)との比較も可能。
    調査結果を効果的に活用することで、着実にCSアップに導くことができます。

    著者プロフィール
    三浦美浩

    1987年 東北大学卒業、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長
    2011年8月 商業界取締役就任
    2017年1月 独立しロジカル・サポート㈱設立
    2020年4月 エイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)、現在にいたる

    長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。
    従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

    実査、報告書
    エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング㈱ 調査員

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