食品スーパー「西友」調査結果 【無料資料ダウンロード】

調査結果

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング(ARC)は、ミステリーショッピングのプロ集団であり、店頭のリアルな実態と、それが顧客の感情、再来店の意向に与える印象などを調査・分析するスペシャリスト集団です。好調企業の現状の店頭の実態=“FACT”を調査し、それが顧客の「また来たい」という印象(私たちはこれを『再来店動機』と呼んでいます)に与える要因などを解析することで、小売業の皆さんにこんな時代のお客さまの “琴線に触れるポイント”“また来たいと思ってもらえる勘どころ”を伝えたいと考え始めた、この調査・分析も既に10回目となりました。毎回のご愛読を感謝いたします。

今回はそんな調査・分析の対象として西友を選択しました。もともとは衣食住フルラインで扱う総合スーパー(GMS)チェーンでしたが、近時はスーパーマーケット(SM)業態の出店が多く、食品主体の店舗が多くなっています。2022年12月段階で国内に327店舗を有するチェーンストアです(執筆、掲載の関係から調査は2022年11月実施、店頭価格などは当時のもの、税抜き)。

80%以上の支持のコンセプト明確「お墨付き」が確実に定着した10年

 

 

今回の調査でARⅭの調査員が最も印象に残ったのは、そのプライベートブランド(PB)である「みなさまのお墨付き」の豊富さでした。

 

「みなさまのお墨付き」(以下、「お墨付き」)は2012年に生まれたPBで当時、西友と同じウォルマート傘下にあったイギリスのSMチェーン・アズダの商品開発モデルを水平展開したものです。PBの商品開発を100人以上の消費者テストの“良い、良くない”などの4段階の指標で判定、70%以上(2019年10月からは80%以上)の支持を得られなかった商品は開発を中止するか仕様変更で再度、テストを受けるというプロセスを定型化したものです。既存商品も定期的に同じテストを実施し、品質、価格の判定をし続け、合格したものにだけ日本語の“お墨付き”といネーミングと“二重丸=◎”のラベルを与える仕組みです。

 

しかも「ココナッツミルクとスパイスにこだわった シンガポールチキンカレー 180g・¥350」ならHPや店頭には支持率“81.8%”明示され、確実にテストを通過したことが分かるし、支持率が高かった商品も明確になることで商品選定をしやすくなります。「お墨付き」が支持されている理由の第一は、こうしたコンセプトの明確さです。

 

調査員の印象にもこうした点はっきりと目に映っており『みなさまのお墨付き」がとにかく魅力的。※1,200品目以上』『「みなさまのお墨付き」が秀逸。80%以上のモニター支持がないと商品化されないことが、POPでも訴求されていた。専用の棚や売場も作られていて、NBと比較しても、推奨されていることが分かった』など、既にこのPBが確実に定着していることが店頭からも感じられる売場でした(『』内はダウンロード資料の調査員のコメントより)。

 

第二に、コンセプトと同様に、その品質のこだわりやそのネーミングも特徴的であることを、調査員は感じていました。『レトルトカレーのパックには、工夫を凝らした商品写真がプリントされ、独自のネーミングと併せて特徴が見えた。「カシューナッツ香る マッサマンカレー」「まろやかなコクと旨み クリーミーバターチキンカレー」「しびれる辛さの 麻辣ドライカレー」など』『糖質オフのドーナツ、たんぱく質が摂れる大豆チップスなど、「オトナのお墨付きおやつ」と書かれたPB商品のセンスがいいと感じた。市場のニーズや流行をうまくとらえていると感じた』『個人的には、ノンフライのごぼうせんべいが安く買えることがとても嬉しかった。(ごぼうせんべいは揚げてありカロリーが高く、値段も高いことが多いため)実際に食べてみたが、美味しかったので頻繁に購入したいと感じた』など、独自性高い商品が高い品質で商品化されていることに驚く声も多かったようです。

 

店頭には『スイーツコーナーでは「◎みなさまのお墨付き 人気ランキング」と掲載されていて、NO1は「みかんゼリー」、NO2は「マンゴープリンゼリー」NO3は「杏仁ゼリー」と分かりやすく、訴求されていた』など商品を分かりやすく選びやすくする売場の表示の工夫もありました。

 

第三に「お墨付き」が支持された理由は、やはり価格メリットでしょう。特にこのPBはナショナルブランド(NB)商品との併売を徹底していて『同じ種類、サイズ感の他メーカーの商品とPB商品とを隣同士に並べ、自社BP商品の価格の安さを際立たせる事でPB商品への購入に誘導させているような戦略が上手いと思った』という印象を生んでいた。

 

またPBは“2個〇〇円”などのバンドル販売も多く、『PBは2コで**円とかのバンドル販売が多く、まとめ買いを思わずしてしまう価格が多かった(よりどりセッ徳/2点でお得)』『PB商品のまとめ売り値引きが印象的でした。あまり見たことがない気がする。思わず複数個購入してしまった』などのコメントもありました。この売り方が品質を知っている顧客が、まとめて購入してリピートして使うシーンにうまく結びついていることが分かります。

 

「お墨付き」は開発が始まって2022年で10周年でした。この10年間の店側の定着、支持拡大の地道な努力が現在の西友の“強み”につながってことは確かでしょう。

 

 

欲しい商品を欲しい価格でネットでもリアルでも買える存在へ

 

 

調査員の印象に残ったものに、やはり安さがあります。『バナナは以前98円で話題になったが、現在の118円でも買いたくなる価格になっていた』とか『全体にお買い得表示が多かった(お買い得/超得/お特品売れ筋)。手書きの価格で安いと感じてしまう。(実際に安い)』など価格訴求の魅力が感じられる売場になっていたようです(現在は「超得」「3カ月続くお買得」「よりどりお買得」「当店のおすすめ」「新商品」などを中心に訴求しています)。

 

また西友のもうひとつのPBである「きほんのき」は、商品の過度な包装や不必要な機能を削って徹底的に安さを追求した“ジェネリック”といわれるPBの領域に属する商品ですが『「きほんのき」シリーズは、日用品で展開されていて、定番のトイレットペーパー(268円)や、ホッカイロ(448円、468円)が安い』という声もありました。「きほんのき」は赤一色の商品パッケージで『赤いパッケージと、大量陳列でNBよりも買いやすい陳列だった』という売場づくりも低価格の印象を強めたようです。

 

接客などの面では『歩行中のスタッフはすれ違うと挨拶をしてくれ、お弁当の品出し作業中のスタッフは頻繁に顔を上げて目を配りながら「いらっしゃいませ」と声を出していた』という声もあれば『笑顔で挨拶してくれた人はおらず、接客よりも別の業務を優先する姿勢が感じられる印象だった』という印象もあるなど、全体的には店や個人によるばらつきもあったようです。ただ『すれ違い挨拶は基本無いが商品の売場を尋ねると親切に応対してくれた』『制服は私服にエプロンの人が多かった。制服から歓迎感があった(背中にWelcome!)』という声もあって基本は確実にできていたようです。大きな声をあげるような日本的な接客サービスは“トレードオフ=無駄を省いて必要な機能だけを強調すること”をしているような印象で、コロナ禍ということもあり、こうした対応も無理はないでしょう。

 

『店舗の経年劣化をリフレッシュして、買い回りしやすい、また行きたくなる店舗づくりができていると感じた。きれいで、買い物しやすく、お買い得なPBと、よく考えられた売場構成だった』『通路を広くとり、きれいに清掃している。24時間営業でも5Sはきちんとしていると感じる』などの意見もありました。

 

2020年11月に西友は、それまでウォルマートの100%子会社から、アメリカ・ファンドと日本の楽天の子会社となりました(ウォルマートは株式の15%を継続保有)。その中で西友は“日本を代表するOMOリテーラーとなる”と宣言しました。OMO=Online Merges with Offlineとは、オンラインとオフライン(実店舗)の垣根をなくすことで、顧客がより効率の良い購買体験ができるようにするためのマーケティング施策のことをいい、それ以降の西友は楽天と協業しながらネットスーパーなどを強化する政策を採用しています。

 

店頭でも『ネットスーパーを強化しているのが分かった(5年で1000億円IT等へ投資)』『特に楽天経済圏とのシナジーは、これからもっと発揮されそうな気がする』の印象も強かったですし、『楽天Edyチャージが強調されていた』『楽天との連携によりユーザーにはお得!』なども調査員の印象に残っています。

 

もともと西友はネットスーパーに長く取り組んできていて得意としていましたが、そこに楽天のECやキャッシュレス決済などが加わるとなれば、日常の買物がワンパッケージになった大きな経済圏が想定できます。現在の西友店内でも楽天ポイントの訴求などはとても多くなっています。

 

西友は今年、創業60周年です。HPの大久保恒夫社長はトップメッセージで「これまでの“カカク安く、クラシおいしく”のコンセプトは店舗でもネットでも、お客さまの多様なニーズにお応えできるものを、ほしいときに、お得な価格で、便利にお買い物いただけるスーパーマーケットを実現することだと、わたしたちは考えています」と語っています。

 

さまざまな不要な機能を削りながら、PBなどでオリジナリティと最適な品質を追求、それをデジタルでもリアルでも買いやすい買物の仕方で提供できるリテイラー・・・、こんな存在はスマホ全盛時代に大いに便利で重宝される存在になるだろうと想像できる、そんなリサーチ結果でした。

 

詳細な調査結果は「優秀チェーン7つのエクセレント」を下記よりダウンロードして頂けます。
ぜひダウンロードしてご覧くださいませ。

 

西友ダウンロード資料|エイジスリサーチコンサルティング

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    自店の強み・弱みを発見し、目指す姿と現状のギャップを把握することができます。
    サービス・オブ・ザ・イヤーの調査実績から、
    業界水準(デファクトスタンダード)との比較も可能。
    調査結果を効果的に活用することで、着実にCSアップに導くことができます。

    著者プロフィール
    三浦美浩

    1987年 東北大学卒業、損害保会社を経て商業界入社、「食品商業」編集長、「販売革新」編集長
    2011年8月 商業界取締役就任
    2017年1月 独立しロジカル・サポート㈱設立
    2020年4月 エイジスリテイルサポート研究所所長に就任(兼任)、現在にいたる

    長年にわたり小売業の現場に関わり、執筆活動と共に、分析や提言も行っている。
    従業員教育にも関わりがあり、現場に即した研修には定評がある。

    実査、報告書
    エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング㈱ 調査員

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